【地図を拾ったら】
奥駈ツアー二日目も後半、
寝る宿(楊枝ヶ宿小屋)も定めて、一歩一歩進んでいました。
夕方になるにつれて足が上がらなくなるのか、つんのめる回数が増えます。
すっごいカール、涸沢のような光景やな、と思いながら歩いていると、
目の前に地図、そして奥駈の水場や小屋の詳細なイラストマップ
(しかもクリアファイルで上手に製本してる)
が落ちている。 というか落としている。
“あっちゃー、落とした人困ってるで。”
ここで、私のランニング魂にスイッチオン!!
それを引っつかみ、前を歩いているであろう地図落とし人を追いかけます。
丘で休憩しているオレンジ色のおっちゃんに
“地図落としていませんか?”
“大丈夫、さっき抜かしていった兄ちゃんとちゃうかな。”
“だいぶ前ですか?”
“そうやな。”
“ありがとうございまーす。”
と走りながら会話をし、前に進む。
“あっれー、おれへんな。 追いつくかな。”
走り続けていると広場で倒木に腰掛けて煙草を喫っている兄ちゃんを発見
“あの、地図 ・・・ ”
“おー、私のです。 ありがとうございます。 助かりました。”
“それはよかった。”
“このまま進むしかないなと思っていたのですが、水場とコースタイムがわからないので不安でした。”
兄ちゃんと5分ほどしゃべり、
“そしたらまたね。”
“お気を付けて。”
と別れた。
が、この兄ちゃんとは本当に翌日また会うことになるのです。
続く (続くのか?!)
おまけ:4泊目の宿
本宮から那智へ向かう道中、大雲取越の名で恐れられている越前峠(840m)があります。
“殿、前の道に何か見えます”
“見えるの”
“何ですかね”
“わからんの”
“やや、これは”
“なんじゃ”
“ここで人が寝てた様子でござる”
“本当に道端じゃがね”
小口(60m)から登り始めたのは17時03分
コースタイムは今晩の宿に定めた休憩所のある地蔵茶屋跡まで120分でした。
19時ならまだかろうじて陽はある。
登りだしてみたものの4日間の疲労とすべる苔むした石段に足を取られ
まったく進まない。 休憩ばかり。
途中でその120分というのは下りのコースタイムで
登りなら140分という事に気がつくのですが、もう前に進むしかない。
19時前にヘッドランプを付けて、19時10分に越前峠に着いたときは
もう辺りは真っ暗でした。
もう進めない。 目的地ははるか彼方でしたが、道端で寝るしかない。
そこからバックして適地を探して、先ほどの場所に落ち着いたのです。
倒木に腰掛けたら湿ってて冷たく、ビニール袋を敷いて座り晩御飯を食べました。
アミノバイタルを飲み、疲労回復用のサポーターに穿き替え、
脱いだ汗だらけの服は”乾くかな”とかすかな希望を持って倒木の枯れ枝の上に干します。
道端ですが、車も来ないし、翌朝5時過ぎまで寝れましたよ。
で、思いついて上の写真を撮りました。
でもなんか、普通の人じゃない感じですね。 あれ?!